写真家について

江部 陽子 プロフィール

フォトグラファー。 アーティスティック・ドキュメンタリー作品を発表。 1978年、栃木県生まれ。数学者の父、ピアノ教師の母によって、小さな田舎町で育てられる。 16歳で一年間、交換留学生として渡英。絵画における芸術的表現を学び、ピアノではコンクールに出場、入賞。帰国後、その留学体験を題材に文藝春秋から単行本を出版した。 慶応義塾大学総合政策学部卒。 アフリカ音楽や中国武術等との出会いから、人間の内側に秘められた超自然的な能力を誘発するインターナル・アートの世界に魅せられる。以来、そうした本能的な感性を活性化させるバイタリティに溢れた世界を、ファインダー越しに捉えることを試みる。 撮影の際には英・仏語力を活用し、現地の人々とのコミュニケーションを大切にしており、彼らの世界への理解と愛情が、写真表現からも伺える。 作風はアーティスティック・ドキュメンタリー。プロジェクト毎に自ら調査、準備を進め、渡航先はアジア、アフリカ、ヨーロッパと広範囲に及ぶ。ニューヨーク在住。

アーティスト・ステートメント

「インターナル・アート」について – by 江部 陽子

「インターナル・アート」のコンセプトはもともと中国武術において、肉体的な強さ・機敏さよりも、特に「精・気・神」といった内面的なものを意識したスタイルに用いられたものです。中国明末〜清初の儒学者である黄宗羲が、「エクスターナル・アート(外家)」的な少林拳と「インターナル・アート(内家)」的である武当拳を対比させたことが始まりとも言われています。 私が主題として取り上げているインターナル・アートも、表面的なエクスターナル・アートと対照に、その活動によって活性化する、人間の内面的・本能的なエネルギーに特徴があります。これまでプロジェクトに取り上げたアフリカ音楽や中国武術においては、都市生活を営む我々の概念と根本的に違うところがあり、見た目や専門的な説明からは非常に理解しにくいものであると感じています。そんな閉ざされた世界における研ぎ澄まされた瞬間を、写真に撮ることで保存したいというのが私のテーマです。 私が考えるインターナル・アートは、上記のような芸術分野におけるものに限らず、もう少し身近なものに見いだすことも出来ると思います。知識や教養、物質的豊かさといった先進的な概念から離れて、良い意味で原始的な感性や、バイタリティを活性化させるような世界をインターナル・アートと呼び、作品を通して紹介していきたいと思っています。 これまで、そしてこれから、私が各プロジェクトにおいて出会った師匠たちやその環境から得た素晴らしい恵みを、写真という媒体を通して少しでも還元できたらと願っています。