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プロジェクト: ブータン王国の「幸せ」

チベットの小国、ブータン。

世界で一番幸せな国と言われる、ブータン。世界が急速に近代化(欧米化)する中で、国民総生産(GNP)に代わって「国民総幸福量(GNH)」という概念をかかげ、いかに国民が幸せを感じているかを重要視するという。 これまで「インターナル・アート」をテーマに、人間の内面的・本能的なものに注目したアートに着目してきた中で、真っ向から「幸せ」という内面的なものを国の価値のものさしとしてかかげたブータンで、「幸せ」の原点を探りたい。

イントロダクション – 幸せの国、ブータン。

幸せを求めることは人間にとって自然なことで、幸せは多くの人々が共有する根本的な価値観だろう。一方で、幸せとは人それぞれの主観に基づいた、実体の知れないものであり、物質的・金銭的な豊かさに比べてその度合いを測る事は難しい。しかしブータンでは、国民総幸福量(Gross National Happiness, GNH)をものさしに、国民の「幸せ」を最大にする事を国の第一目標にかかげている。

ブータンはヒマラヤの東方にある王国で、大国インドと中国の間にある。国土面積(2011年予測: 世界135位)、人口(2011年予測: 720,679人、世界165位)と非常に小さな国で、一人当たりのGDPは2,121米ドル(2011年、IMF調べ。世界127位)と、日本の45,920米ドルと比較しても20分の1以下である。しかし、いくら小さいとはいえ、ブータンの強みは何と言っても国民の幸福度の高さにある。

1972年に、ブータン国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクが国民全体の幸福度を示す尺度として、国民総幸福量 (GNH) を提唱した。経済的な尺度である国民総生産(GNP)ではなくこのGNHを用いることで、ブータン特有の文化と仏教の価値観に基づいた、ブータンならではの経済政策を実施していくことを示したのである。GNHのコンセプトはその後ブータン研究センターによって具体的なものと発展し、国民の健康生活と幸福度をはかる優れた調査方法が確立された。

このGNHは世界に影響を与え、今日では国連でもグローバル・アジェンダに「幸福」という項目を挙げている。 ブータンでの調査によれば、実際、ブータン人の97%が自分は幸せだという。とはいえ、どうして、ほぼ全ての人が本当に幸せとなれるのだろうか? 私は彼らの幸せの秘訣がどのようなものであるか知りたいと思い、ブータン行きを決めた。

ブータンへの旅の準備はとてもシンプル。なにしろブータン行きの航空会社はロイヤルブータン航空の一社、そして外国人がブータンを旅行する際の1日当たりの料金は一定なのだ。1日料金には宿代と三食、専属ガイドに専属ドライバー付きの車がついてくる。希望に従い、現地事情に詳しい旅行会社が旅程を組んでくれるので安心だ。

ただ、この1日当たりの料金は、比べてみるとブータンの一人当たりGDPの一ヶ月分を越す金額で、決して安くはない。 ブータン旅行に申し込んだ際は、この「チョイスは一つ」というのに慣れない私は窮屈さを感じ、外国人旅行者が利用されているようにさえ思えた。しかしながら、実際にブータンの地を踏んでみると、この「チョイスは一つ」ということ自体も、幸せへの秘訣の一つであるように思えるようになったのだ。

幸福への鍵 – あなたを幸せにしてるのは?

幸せといった内面的なものはその人それぞれにかかっており、「幸せ」自体の意味するところも、人それぞれと思うかもしれない。しかし、ブータンで現地の人々に実際に会って話を聞いてみると、彼らは専ら「幸せ」に敏感で、幸福感について似たような価値観を持っていることが分かった。

質問は三つほど。ブータンを旅しながら出会った様々な人に聞いてみることにした。答えてくれたのは高校生、店主、農家、警察官から僧侶まで、様々である。

質問1: あなたは幸せですか?

質問2: あなたを幸せにしてくれるのは?

質問3: 夢は何ですか?

旅先で会うブータン人に近づき声をかけるとき、ときに恥ずかしがる人も少なくない。しかし、幸せについて聞いてみると、不思議なことに自然と自信や誇りが感じられる態度に変わる。そして、それぞれ自身の気持ちを自分の言葉で返事をしてくれるのだが、その答えは結果的に似通っている場合が多かった。ブータンの人々は一般にとても大らかで好意的、また親切で心が温かいように感じられた。 ここで、いくつかの回答を紹介したい。

1: もちろん、私がしていることに満足しています。
2: 友達、先生、そして両親からのサポートを幸せに感じます。人生まるごと幸せです。
3: 自立した女性になるのが夢です。
ドージ・デマ (女子高生)

1: はい、とても幸せです。
2: 両親そして友人達が幸せにしてくれます。そして、この国に産まれたことが幸せです。
3: 両親を幸せにすることが夢です。
デキ (警察官)

1. はい、この国に生まれ育って幸せです。
2. この国の皆が幸福で、それがまた私も幸せにしてくれます。
3. 私は僧侶で宗教に身を捧げている者として、近くのお寺で瞑想をしたいと思います。
ゲルツェン (僧侶)

1. はい、幸せです。
2. ブータンで、両親そして妻と子どもたちと生活しているからです。
3. 善い人間になることが夢です。
デオマン・ライ (肉屋の男性)

1. はい、幸せです。でもときどき悲しいです。
2. 友達に会うと幸せな気持ちになります。
3. 私の夢は世界を見る事です。また、人々の助けになりたいと思っています。
ペマ (地元の居酒屋で会った女性)

1. はい、この小さな国で私は幸せです。
2. ブータン以外の国で私は幸せにはなれないでしょう。平和、宗教そしてブータン中の人々の幸福が、私の幸せのもとです。
3. 幸せな家族と生活しながら、高潔なビジネスマンになることが夢です。
ビシュヌ (旅行社マネージャー)

1. 幸せです。
2. ブータンが信仰深い国で、偉大な僧の生まれ代わりである王様の力のもとにあるからです。
3. 織物のビジネスを拡大していくことが夢です。
ソングメイ・イェシェイ(工芸品店のオーナー)

ブータンの旅の終わりまでに、50名近い人々の回答を得る事ができた。その中で共通したメッセージをシンプルにまとめてみると、次のようになる。
はい、(とても)幸せです。

この美しい国、そして家族と友達のおかげです。

善い人でありたいと思います。周囲の人を助け、また家族や友達を幸せにしたいです。

幸福への鍵 –「幸せ」に関する考察

ブータンへの旅を通して、ブータン特有とも思われる現地の人々の幸福のコンセプトを学んだ。文化や個人によっても「幸せ」の意味するところは少々違ってくるとは思うが、ブータン人の幸福観は、本当の幸せへの大事な鍵を教えてくれたように思う。

*** 愛と行動 ***

ブータンで人々が共通に持っている価値観といえば、とにかく王様と王女様をこよなく愛し、また自分たちが仏教徒であることが心から好きだということ。自然を大事にし、動物は家族同様に扱い、自らの手で生き物を殺す事はしない。社会が近代化またはグローバル化するよりも、美しい国をそのまま守っていきたいと心から願っている。「自分をここまで良く育ててくれた両親の世話をしたい」という言葉をよく耳にするように、彼らは両親を尊い、自分も善良な人間でありたいと願う。他人の手助けをすることは、自分の幸せにつながると信じる。 ここで、幸せの鍵は「愛」だ。人々、自然、信仰心、スピリチュアルな象徴である王様と王女様に対する、無条件の愛。それは発する言葉だけでなく、日々の行いに現れている。愛する対象の為に日々時間を使うというブータン人に共有される自然な態度が、国全体を幸せで平和的な空気にしているのだ。

幸福への鍵 1: 周囲のものを愛し、その愛情を日々行動によって示す。

*** ポジティブ思考 ***

ブータンの人々は一般にゆったりしていて、誇りを持ち、素直で親切。ちょっとしたことでは怒ったり悲しくなったりしない。何か困難な事態が発生しても、「おかげで悪い運は使い果たしてしまったに違いない」とポジティブな側面を見て、乗り越えてしまう。これは携帯電話をなくしてしまった等の日常的なことのみならず、例えば妻に逃げられ、長年苦労してなした財産も全て持っていかれてもだ、と、ブータン人の友人は言っていた。 こうしてみると、ブータン人は長年の苦労にも財産にもしがみつくことなく、何が起きても、必ずポジティブな側面を見るようである。起きてしまった過去のことにはこだわらず、前進していくことが大事。
幸福への鍵 2: たとえ何が起きても、心を乱さず、ポジティブな側面を見る。


*** 少ないほうがベター ***

競争が少ない: 「ブータンでは、競争が少ないのが気に入っている」と、あるブータン人男性が言っていた。競争は成長や改善を促す一方で、勝ち組と負け組を作り出す。競争が少ないと、他人と比較して優越感も劣等感を感じる必要がない。

物質的に少ない: ブータンの一人当たりGDPは年間で2,000ドル強。街には電気も車もテレビも、その他現代的なものがある中で、ライフスタイルは至ってシンプルに見えた。例えば学習塾に行ったり残業でより多くお金を稼ぐよりも、家族や友達と一緒に過ごしたり、各家にある仏間でお祈りをしたりして時間を過ごす。

チョイスが少ない:私のブータン旅行の期間中は、食事のメニューはほぼ毎日三食同じようなものだった。ブータン料理はバラエティもあり、毎回違う人が作ってくれた食事は美味しかったが、チョイスは限られている。ブータンではブータン料理を食べる、つまりフレンチとか中華や和食は基本的にないのだ。また、ブータンへ旅行をしたければ、イントロダクションでも述べた通り、一日料金が決まっている。それが幾らであってもブータンに行きたければ支払わねばならないし、与えられたものをいただくのみである。ただ一度そのルールを受け入れさえすれば、現地の人々はその旅が最高のものになるよう最大限の努力をしてくれる。ここで鍵になるのは、限られたチョイスを受け入れ、その機会を最大限に活かすこと。
幸福への鍵 3: 持つものやチョイスが少ないことが、それを感謝しつつ最大限に活かす余裕をつくる。


ブータンの人々は、継続可能な幸福生活のお手本を示してくれているように思う。自信を持ち、幸福感に敏感で、自分たちの文化に対する無条件の愛を持っている。本当の幸せとは周囲の人々・環境を愛し、根っからポジティブ思考で、物質的に少なめの生活をする中から湧き出るもの。常にもっと、もっと欲しがってしまう、複雑で物質主義的な現代生活の真逆とも言える。

これまで様々な国々を旅してきた中でも、ブータンは特に強く印象に残る国となった。美しく幸せなこの国は、たった一日でさえ訪れる甲斐があるだろうと思うくらいだ。

ブータンの旅で出会い、幸せに関するインタビューに協力して下さった50名ほどのブータン人の方々に、この場で深くお礼を申し上げたい。彼らのおかげで、幸せとは実は足下に転がっているものだと気づく事ができた。それを大事にするか、見逃してしまうかは、私たち次第なのである。