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プロジェクト: キューバ音楽

キューバ、ハバナ。

ブルキナファソのプロジェクトでは、アフリカ音楽を理解する上で鍵となるのがクラーべ(テンポを構成するリズムパターン)であると学んだ。今回、そのクラーべが海を渡って定着したキューバを目指す。

キューバでは、例えば一人のピアニストが、朝はソロとしてオーケストラと共に、午後は電子音楽のグループで、夜はサルサバーで弾いてしまう。キューバのミュージシャン達は、安定したクラーベのビートを軸に、ジャンルの壁を取り払って「音楽」そのものを心から楽しんでいる。

キューバ音楽 イントロダクション

ブルキナファソでは、アフリカ音楽を理解する上で鍵となるのがクラーべ(テンポを構成するリズムパターン)であることを学んだ。そのクラーべが海を渡って定着したキューバでは、ヨーロッパ・アフリカ的な要素を持ちながらもキューバ独自のスタイルを確立し、また様々なジャンルの音楽を取り入れ自分たちのものとして弾きこなし、更にはジャンルの壁を取り払って音楽そのものを楽しんでしまうようなレベルにまで発展させている。

今回のプロジェクトでは現地の若手音楽家の中でも特に一目置かれているピアニスト・作曲家である、アルド・ロペス・ギャビランを訪ねてハバナを目指した。渡航前に彼の演奏をYouTubeで見たとき、一人の演奏とは思えない迫力に圧倒されたものだが、生演奏のアルドはその存在自体が音楽というか、体全体がピアノの一部と化して、まるでオーケストラのようなダイナミックさであった。クラシック、ジャズ、フュージョン等何を弾いても、まるで新鮮な世界を作り出す。

アルドの周囲には、キューバ国内外で活躍する超一流の音楽家達が集まっていた。私のクラーベへの興味に応えるべく、パーカッションの巨匠であるルイ・ロペス・ヌッサを紹介され、彼から直々にコンガの手ほどきを受けることになる。ルイはハバナの芸術学校でも指導しており、教えることも、自分で演奏する事も、他の音楽家の演奏を聞く事も、パーカッションに関しては何でも心から大好きなのが、本人の表情から伝わってくる。

キューバの撮影は数度に分けて行った。初回はアルドやルイほどの巨匠の世界に触れ魅了される一方で、キューバ音楽というのが単にクラーベによって説明できるようなものでないと分かっただけで、あまりの幅の広さに混乱した。二度・三度と渡航を経るにつれ、ましになったスペイン語会話と、更なる音楽家達との出会いやレッスンを通して、ようやくキューバ音楽パワーの源泉へと近づけたように思われる。

キューバ音楽レッスン―サルサ、ルンバとクラーベ

パーカッションの巨匠であるルイ・ロペス・ヌッサによるキューバ音楽のレッスンは、「ソン」の音楽から始まった。「ソン」といえばサルサ・ダンスの音楽だから、ラテン音楽ファンには馴染み深い。クラーベ用の木の棒によって刻まれる、ソンのクラーベのリズムに合わせて打楽器を弾くと、ソンの音楽のベースができる。ソンの演奏に使われる打楽器はコンガ(樽型の胴の上面に皮が張ってある打楽器)、ボンゴ(大小2つの片面太鼓をつなぎ合わせた打楽器)その他幾つかあるが、私は基本を学ぶ目的でクラーベとコンガに集中した。

まずはコンガから。コンガはアフリカのジャンベのように、叩き方により一つの楽器から数種類の違った音を出す。素手でたたくこの種の打楽器においては、まず正しい音を出すのが重要だが、これが容易でないため初めはだいぶ根気が要る。コンガの上面に張られた皮はジャンベよりも厚みがある印象で、音にも勇ましさというよりは深みが感じられる。コンガ演奏のリズムを学ぶに当たっては、アフリカでの見様見真似に頼る方法と違って、譜面により説明してもらうことができた。実際の演奏では細部まで聴き分けられない程テンポが速くなるのだが、練習段階では自分の身体で覚えるまで譜面は手放せない。

コンガでソンのリズムが一通り弾けるようになったら、今度はクラーベである。クラーベのリズムを刻む二本の木の棒にも正しい持ち方と響かせ方があり、それが音色の差に出る。また、クラーベのシンプルなリズムと、他の楽器の複雑なリズムを合わせて演奏するとなったときが、実に難しい。「キューバ人のプロのミュージシャンと、多くの外国人ラテン音楽ミュージシャンの違いは、普通の拍子に加えてクラーベのリズムを軸に自由に演奏ができるかどうかだ」という。そのスキルはまるで先天的に身についているのではと思うくらい、例えば何か別の事に気をとられながらでも惰性で打ち続けられるのが、キューバ人のクラーベだ。

ルイから日々のパーカッション・レッスンを受ける一方で、ソンの音楽とは切り離して考えられない、サルサのダンスも習う事にした。ここでも基本はクラーベのリズム。拍子を口ずさみながら、またはクラーベのリズムを手で打ちながら、ステップや動きを練習。そして、ソンのクラーベが演奏でもダンスでも身体に馴染んできたところで、今度はルンバのクラーベのリズムも習う。ルンバのクラーベは非常に似ているが、ソンに比べて一音だけ後ろにズレており、たったそれだけのことが、音楽の雰囲気をがらっと変える。またルンバのダンスに至っては、普段の生活では使わないような背筋、腰周りの筋肉を使う。サルサの動きとはまた別もので、ルンバ特有の難しさがあるのだった。

キューバ音楽にはヨーロッパからきた拍子の概念や楽譜がある一方で、アフリカ発のクラーベをリズムの軸として用いる。ビート(拍子)とクラーベの二重ベースにより、優れたミュージシャンになるとオフ・ビートの(拍子から意図的に外す)演奏が可能になり、魔術のようなひねりのある展開が聴かれることもある。また、ハバナのジャズ・ピアニストが足でクラーベのリズムを刻みながらピアノを弾く様子を見た事があるが、そうしたリズム感覚がパーカッションに限らずピアノ演奏にさえも、踊りたくなるようなパワーを生み出す。ヨーロッパの音楽とアフリカの音楽の恵みを融合させたことが、キューバ音楽がテクニカルな意味でも豊かな所以であろう。

キューバ音楽は、愛と人生

明るく陽気で、愛情と喜びに溢れたキューバ音楽。クラーベを軸に広げられる複雑なパーカッションのリズムの繰り返し、その上に管楽器、ピアノ、歌等、何人もの演奏が複雑に絡み合って、絶妙なハーモニーと熱いエネルギーを作り出す。そんなキューバ音楽に魅了され、彼らの世界を理解したいと思い、まずはスペイン語を学び、現地に飛んでアルド・ロペス・ギャビランと出会い、ルイ・ロペス・ヌッサからパーカッションを習い、そしてサルサとルンバのレッスンにも通った。こうした中で、キューバ音楽と言っても様々なジャンルがあることを知り、その奥深さと複雑さに面食らう一方で、やはりそのベースには何か共通したテーマがあるような気がした。

その共通したテーマ、ひいては彼らの音楽があれほどパワフルでありえる理由というのは、一体何であろうか。その答えを求めて、ハバナに住みながら国内外で活躍する著名なミュージシャン達に、自ら会いに行きインタビューをした。彼らにとってのキューバ音楽とはどのようなものか、キューバ音楽において何が重要か。彼らは皆、丁寧に各々の言葉で表現してくれたのだが、その答えの中に一貫していたのが、音楽=愛=人生という方程式だ。彼らは音楽活動に真剣に取り組み、音楽をこよなく愛す。人生と愛が音楽の源で、音楽は例えば呼吸をするように自然でまた必要不可欠なものなのだ。

以下、インタビューからの抜粋。

人生を愛するように、キューバ音楽を愛している。それは、本当に豊かなもの。 - Maykel Blanco (Maykel Blanco y Salsa Mayor のディレクター、ピアニスト)

人生のように多様で、空気のように不可欠で、笑顔のようにフレッシュで、モヒートのように酔わせてくれる、、、 (キューバ音楽は)キューバ人であることを誇りに思う理由だ。 – David Torrens (シンガー・ソングライター)

(キューバ音楽において)一番大事なのは、調和である。音楽なしでは、僕はとても生きられないだろう。 - Karel (Bamboleoのピアニスト)

私にとって最も重要なのは、キューバ音楽のもつリズム的な豊かさ。音楽こそが、私の人生だ。 - Ruy López-Nussa (ハバナ芸術学校教授、パーカッショニスト)

エネルギー、そして真実。音楽が全て。私の人生は音楽であり、舞台はいわば我が家である。- Rele (Los Van Vanの歌手)

クラーベのリズムを軸とした確固たる演奏テクニックの高さに加えて、ミュージシャンひとりひとりの才能と、人生と音楽を深く愛する気持ちが合わさって、これほどパワフルな芸術となったのがキューバ音楽なのだと思う。忙しい中で私のインタビューに丁寧に応じ、自分たちの音楽の心をシェアして下さったミュージシャン達に、改めて心からお礼を言いたい。